浅草・箱長|桐木目込み細工の工房を訪ねて

つくり手に会いにゆく

from:スタッフ三浦

2018年1月30日、東京浅草で明治7年から桐の小物や家具を製造している「箱長」の工房にお邪魔して、製作工程を見せていただきました。

工房のある本社は台東区寿にあり、料理道具や厨房機器の道具街で有名な、合羽橋の近くです。
直営店は浅草駅近くに2店舗あり、下町情緒漂う観光の街で賑わっています。

伺った日は平日の火曜日。
応対してくれた箱長社員さんによると、土日は日本人のお客さんも多くやってくるそうですが、平日は日本人よりも海外からの観光客の方が多いとのこと。
箱長さんの撮影を終えてから、浅草寺参道の仲見世通りをぶらっと歩いてきたのですが、周りから聞こえる話し声は外国語ばかり。
去年の11月に仲見世の家賃問題が話題になりましたが、見た感じでは今まで通り土産物屋さんも賑わっていましたね。

仲見世通りの風景。

浅草・箱長

箱長は、明治7年創業以来、箪笥や小物類を製造してきた、浅草の老舗です。
桐木目込み細工という、独自の装飾技法で桐工芸品を作り上げています。
木目込みとは、鈴や瓢箪、とんぼ、扇などの縁起物の図案を描き、彫刻刀で彫り、そこに和紙を裏打ちした着物地を木目込む技法です。
桐材と着物地の調和を大切にした江戸の技です。

箱長のシンボルとも言えるのが、縁起物の鈴柄。
開運、商売繁盛、魔除けの縁起柄と言われています。

今回、この鈴柄の木目込み細工の作業風景を撮影させていただきました。
図案を木地に写し取り、それに沿って彫刻刀で彫っていきます。
顔料の塗料で彩色し、着物地を木目込んで、完成となります。
職人さんの丁寧な手仕事を動画でも撮影していますので、こちらでも御覧ください。

やげん彫り

三角の彫刻刀を使って、鈴の紐部分を彫っていきます。
後でこの溝に顔料で彩色します。

筋彫り

図案の輪郭に沿って、彫刻刀を縦に入れていきます。
これが次の工程のベースになります。

筋彫りが終わったところ。

さらい彫り

筋彫りの輪郭に沿って、丸く立体的になるように斜めに彫刻刀を入れていきます。
このさらい彫りをした部分に着物地を木目込みます。
さらい彫りが終わったところ。
何種類もの彫刻刀を駆使し、木目込み細工を仕上げます。

彩色

三角刀でやげん彫りをした溝に、筆で顔料塗料を塗っていきます。
彩色が終わったところ。

木目込み

図案の形に切り抜いた着物地を、のりで貼り付け、専用のヘラで木目込んでいきます。
端の部分は木地に埋め込むようにして固定します。
着物地は裏側に和紙を貼り付け(裏打ち)、強くしたものを使います。

この布をこれから木目込みます。
和布の裏側にのりを塗ります。
ヘラで端を埋め込みます。
たくさんの色柄の着物地がストックされています。

完成

木目込みが終わり、木を彫った時の細かなゴミを取り除いて完成です。
木目込み細工の完成です。

白木と時代仕上げ

箱長では、桐の木肌をそのまま生かした白木の小物と、焦茶系の色味の時代仕上げの品物を製作しています。

白木と時代仕上げ。

時代仕上げとは、桐の板を火で炙って焦がした後に、胡粉(貝がらを原料にした顔料)と、カーボン(炭)などで仕上げたものです。
この時代仕上げは箱長独自の技術で、他の工芸品にはない、独特の色味です。
この技法は基本的に外側にのみ施し、内側は白木のままなので、桐が本来持つ耐火性能、湿度調整機能、防虫効果がきちんと生きた製品になります。

時代仕上げの独特の色味と、木目込み細工の粋な絵柄を、ぜひ手にとってお楽しみいただきたいと思います。

当店取り扱いの箱長の製品は、こちらからご購入いただけます。

p.s.
箱長は元々、無地の桐箱の製造販売を行っていた工房だそうです。
今ではずいぶんと少なくなってしまったそうですが、かつてはアクセサリー小物を手づくりする作家さんから依頼を受け、小箱を多く作っていたそうです。
乾燥が大敵の象牙の小物には、桐の湿度調整機能が最適で、またべっ甲の虫食い対策にも、桐の防虫効果が生きたそうですよ。

p.p.s.
箱長さんの取材の後に、浅草の街をブラブラしてきました。
下町情緒ある親しみやすい街の雰囲気がいいですね。

仲見世通り
浅草だ!って感じです
浅草寺宝蔵門
浅草寺本堂
浅草寺五重塔
五重塔とスカイツリー

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